日々の疲労感や体調不良に悩む人は少なくありません。しかし、その原因を本質的に理解し、根本から改善しようと考えたことはあるでしょうか?
鈴木祐氏の著書『最高の体調』は、最新の科学的知見をもとに「進化医学」の視点から現代人の健康問題を解き明かし、実践的な改善策を提示しています。本記事では、本書の要点を分かりやすく解説し、「文明病」とは何か、そして私たちが今すぐ取り入れるべき健康アプローチについて掘り下げていきます。
文明病とは? 私たちの健康をむしばむ見えない敵
『最高の体調』では、現代の生活が引き起こすさまざまな健康問題を「文明病」と定義しています。
かつて人類は狩猟採集生活を送り、自然と調和した暮らしをしていました。しかし、農耕社会、産業社会を経る中で、私たちの環境は劇的に変化しました。便利さと引き換えに、私たちの身体が本来適応してきた環境とはかけ離れた生活を送るようになり、それが慢性的な不調を引き起こしているのです。
代表的な文明病の例
- 慢性炎症:ストレスや糖質の多い食事により、体内で微細な炎症が常に起こり続ける。
- 腸内環境の悪化:加工食品や食物繊維不足が腸内細菌のバランスを崩し、免疫力や精神の安定を損なう。
- デジタル疲労:スマホやパソコンの長時間使用による視覚的・精神的な疲れ。
- 運動不足:便利な生活によって、歩く・走るといった基本的な身体活動が減少。
これらの問題を「生活習慣病」として片付けるのではなく、「進化のミスマッチ」として捉え、本来の人間のライフスタイルに立ち返ることが鍵となります。
進化医学が提案する健康アプローチ
『最高の体調』は、文明病を克服するための実践的な方法を提案しています。特に、私たちの生活にすぐ取り入れられる3つのアプローチを紹介します。
1. 慢性炎症を抑える食生活を意識する
炎症を引き起こす食品(精製糖・トランス脂肪酸を多く含む食品)を減らし、抗炎症作用のある食材を摂取することが推奨されています。
- 魚(特に青魚に含まれるオメガ3脂肪酸)
- ナッツ類(アーモンド、クルミなど)
- オリーブオイル
- 発酵食品(ヨーグルト、納豆、キムチ)
- 野菜や食物繊維(腸内環境を整え、炎症を抑制)
2. デジタルデトックスで脳と身体を休める
現代人にとって、スマホやPCなしの生活は考えにくいもの。しかし、その過剰な使用が私たちの脳を休ませる時間を奪っています。
- ブルーライトカット:就寝1時間前にはスマホ・PCの使用を控える。
- 通知オフ:余計なストレスを減らすために不要な通知をカット。
- SNS断ち:定期的にSNSの使用を見直し、情報過多によるストレスを軽減。
3. 原始的な動きを取り入れた運動習慣を作る
私たちの身体は、長時間座るようには設計されていません。進化の過程で培われた「歩く」「走る」「登る」といった基本的な動きを取り戻すことが重要です。
- 1日8,000歩を目標に歩く
- 座る時間を減らし、1時間ごとに立つ習慣をつける
- 筋トレよりも、全身を使う運動(スクワット・懸垂・ハイキングなど)を意識する
これらのシンプルな実践によって、私たちは「本来の体調」に近づくことができます。
『最高の体調』の魅力と課題
- 科学的根拠に基づく健康法:流行の健康法とは一線を画し、最新の研究に基づいた実践的なアドバイスが豊富。
- 心身のトータルバランスを重視:単なるダイエット本ではなく、心と体の両方の健康を整える視点が魅力。
- シンプルで取り組みやすい:一気に生活を変えるのではなく、小さな改善を積み重ねるアプローチが現実的。
⛔ 課題点
- 即効性を期待しすぎると挫折しやすい。
- 情報量が多いため、一度にすべてを実践しようとすると混乱する可能性あり。
こんな人におすすめ!
- 慢性的な疲れや体調不良を感じている人
- 生活習慣を見直し、健康的なライフスタイルを作りたい人
- 科学的根拠に基づいた健康アプローチを学びたい人
まとめ:現代人が「最高の体調」を手に入れるために
『最高の体調』は、単なる健康本ではなく、現代社会に適応しながらも本来の人間らしい生き方を取り戻すための指南書です。
まずは、デジタルデトックスや腸内環境の改善など、簡単に取り入れられるものから始めてみましょう。
私たちは文明の進化とともに多くの恩恵を受けてきましたが、それと同時に「本来の健康的な生き方」から遠ざかってしまいました。本書は、そのギャップを埋め、真に健康的な生活を取り戻すためのヒントを与えてくれます。
健康は、一夜にして手に入るものではありません。しかし、少しずつでも意識を変えていくことで、「最高の体調」へと近づくことができるのです。
ちなみに気軽に読める漫画版もあります。
個人的にはこちらの方が要点がまとまって分かりやすいなと思いました。