日傘はもはや性別の問題ではない。男性も持つべき夏の必需品

近年、日本の夏は記録的な猛暑が続いており、熱中症への意識がかつてないほど高まっています。私が子どもの頃と比べても、夏の気温が10度ほど上がっていると感じるほどです。そのような中、にわかに注目を集めているのが「男性用日傘」です。百貨店や量販店では、その販売数が飛躍的に伸びており、私たちのライフスタイルに新たな変化をもたらしています。

男性用日傘、なぜ今売れるのか？

男性用日傘の需要増加の背景には、いくつかの要因が考えられます。最も大きな理由は、やはり猛暑対策です。直射日光を避けることで体感温度が下がり、熱中症のリスクを軽減できるという認識が広まっています。実際に、気象情報会社の調査によると、男性の「日傘を使っている」と回答した割合は、2019年の4%から2024年には12%へと大きく増加しています。

「日傘を差す男なんて」と思う方もいるかもしれません。しかし、これだけ日差しがきつく、紫外線が厳しいと、もはや体への影響を無視することはできません。帽子をかぶった程度ではどうにもならないほどの暑さが、近年は続いています。私自身も、この40代後半に差し掛かり、正直なところ日傘が必要だと感じ、今年中には一本購入しようと考えています。

興味深いことに、日傘を男性が使用する文化は、明治時代には富裕層の間で存在していました。当時は絹などの晴雨兼用傘が日よけとして使われていたとされています。戦後、撥水性に優れた雨傘が主流になり、男性が持つ傘は雨傘に移行しましたが、新たな形で日傘の流行が回帰したと言えるでしょう。この先の時代、男性が日傘を差すことは当然のこととなり、珍しくなくなるのではないでしょうか。今でもまだ違和感を持つ人もいるかもしれませんが、あと数年もすればそれが当たり前の状況になっていると私は思います。

百貨店と量販店の取り組み

各店舗では、男性用日傘の販売に力を入れています。

百貨店での動向 大阪の百貨店では、万博を目的に来阪したという30代の男性が「日傘を差すことに少し抵抗感はあるが、これだけの暑さなので熱中症対策に必要」と語り、機能性の高い日傘を探していました。この店舗では、2024年の男性用日傘の売上が前年の約1.2倍に増加。また、毎年6月に開催される展示販売「傘まつり」では、500本を売り上げ、昨年の307本を大きく上回りました。担当者によると、昨年よりも幅広い年代の男性客が日傘を買い求めに来ており、以前は女性のものという風潮があったものの、今は男女問わず誰もが持ち歩くものという認識に変わりつつあると感じているそうです。
流通大手「イオン」の取り組み 流通大手のイオンでは、2019年から男性用晴雨兼用傘の売り場を設け、プライベートブランド「トップバリュ」でも販売を開始しています。2024年の売り上げは2019年の約7倍に急増しました。

日傘がもたらす効果と社会の変化

日傘を使用することのメリットは、単に暑さを和らげるだけではありません。気象病に詳しい専門家によると、日傘は直射日光を遮り、熱中症になる危険を大幅に下げる効果があります。例えば、真夏の昼間に日光を浴びると頭髪の温度は55度近くまで上昇しますが、日傘を使えば40度ほどに抑えることが可能です。環境省の調査では、発汗量を17%減らせるというデータも示されています。

また、男性向けの日傘ブランドも登場し、注目を集めています。2021年にスタートした「Wpc.IZA」は、軽さや風に強い骨組み、開閉スイッチ付きといった機能性で人気を集め、2023年には前年の3倍以上の販売数を記録し、今年5月末時点で累計160万本を売り上げています。担当者は、美容に気を使う男性だけでなく、日傘が全体に浸透したと分析しています。

2010年ごろには全国的な猛暑を背景に「日傘男子」という言葉が誕生し、一部の男性が利用するようになりました。環境省も2019年には熱中症対策として日傘のレンタルサービスなどを開始しています。老舗傘専門店の店主は「昔は裕福な男性やおしゃれな男性が持つアイテムだったが、今は猛暑から身を守るのが目的で、性差を超えた商品になった。『日傘男子』という言葉が死語になる日も近いのでは」と語っています。

男性用日傘の普及は、単なる流行ではなく、現代の気候変動に適応し、より快適で健康的な生活を送るための現実的な選択肢として広まっています。本当に、若い人もそうでない人も、自分の身を守るために日傘は一本持っておくと良いでしょう。私自身もシンプルなデザインのものを選ぶつもりです。皆さんもぜひ、ご自身に合った一本を見つけてみてください。

私も実際に日傘を購入した際には、こちらのブログでご紹介させていただく予定です。皆さんも、日傘について何かご意見やおすすめがありましたら、ぜひ教えてください。