現代社会は情報であふれています。スマートフォンを開けば、SNSやニュースサイト、YouTubeのタイムラインが絶えず更新され、私たちの意識に次から次へと飛び込んできます。仕事や趣味、家族のことなど、本来やるべきことや向き合うべき大切なことがたくさんあるのに、気がつけばスマホを眺めて数時間経っていた、なんて経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
情報収集はとても重要です。必要な情報にすぐにアクセスできる便利さは、間違いなく現代の大きなメリットです。しかし、その一方で、不要な情報やネガティブな情報まで無意識のうちにインプットしてしまい、心が疲れてしまうことも事実です。私は、そんな情報過多な状態から少しでも抜け出し、心穏やかに過ごすために、デジタルミニマリズムを実践しています。
そもそもデジタルミニマリズムとは何か？
デジタルミニマリズムとは、単にデジタル機器の使用時間を減らすことではありません。デジタルツールを「自分の人生をより豊かにする」という目的のために、意図的に、そして意識的に使うことです。具体的には、自分にとって本当に価値のある情報やコンテンツだけを選び、不要なものを徹底的に排除することで、時間や精神的なエネルギーを浪費しないようにする考え方です。
私がこの考え方を取り入れたきっかけは、ある日、自分が情報に支配されていることに気づいたからです。特に、X（旧Twitter）やYouTubeのタイムラインを眺めていると、自分には関係のない政治の動向や世界の出来事、誰かの誹謗中傷などが目に飛び込んできます。もちろん、社会の動きを知ることは大切ですが、私一人の力ではどうにもならないことに心を痛めたり、不毛な議論にストレスを感じたりすることに、次第に疲れていきました。
情報をシャットアウトしてしまうと、世間から取り残されてしまうのではないか、と不安になる方もいるかもしれません。しかし、デジタルミニマリズムは情報を完全に遮断するのではなく、必要な情報を必要なときに集中して得るためのものです。
YouTubeの整理術：いかにして不要な情報を排除するか
私が最初に手を入れたのはYouTubeです。YouTubeのトップページには、興味のある動画だけでなく、様々なジャンルの「おすすめ」動画がずらりと並びます。ニュースや政治、エンタメなど、自分とは直接関係のない動画まで表示されるため、ついつい見てしまうことが多かったです。
YouTubeには、特定のチャンネルを「おすすめに表示しない」という機能があります。私はこの機能を徹底的に活用し、自分にとって必要のないチャンネルは片っ端から非表示に設定していきました。この作業を地道に繰り返すことで、トップページに表示される動画は、趣味である音楽制作やガジェット関連など、本当に自分が興味のある分野に絞られてきました。
これにより、YouTubeを開いたときに、無駄な情報に気を取られることがなくなり、自分が本当に見たい動画にすぐアクセスできるようになりました。これは、まるで広大な海の中から、自分が探している宝石だけをすくい上げるような感覚です。YouTubeには、特定のチャンネルを完全にブロックする機能がありませんが、この「おすすめに表示しない」をうまく使うだけでも、かなりの効果を実感できます。
SNSとの付き合い方：X（旧Twitter）は情報収集の窓口か？
SNSもまた、情報過多の原因になりがちです。特にXは、リアルタイムで様々な情報が飛び交い、玉石混交の状況です。私はXをメインに使っていますが、以前は他の方のポストも頻繁に見ていました。しかし、多くの口論やネガティブな発言を目にするうちに、精神的に疲弊してしまうことに気づきました。
そこで、私はXの利用方法を大きく変えました。現在は、自分のブログ更新の自動ポストと、ごく親しい友人や応援してくださる方との交流が主な使い方です。タイムラインをだらだらと眺めることはほとんどなくなり、結果として、不必要なストレスから解放されました。
SNSは、人とつながるための便利なツールですが、使い方を間違えると、かえって心をすり減らしてしまいます。私の場合、Xを完全にやめてしまうと、連絡手段として不便な面もあるため、アカウントは残しつつ、最低限のコミュニケーションツールとして割り切っています。SNSで他者の意見に振り回されるのではなく、自分のペースで、本当に大切な人とのつながりを育むことに集中する。これが、SNSと上手に付き合っていくための秘訣だと考えています。
趣味の情報の取り入れ方：インプットの質を上げるために
趣味の分野でも、情報の整理は重要です。私の場合は音楽制作が趣味であり、仕事でもあるので、この分野の情報は積極的に取り入れています。しかし、これもやみくもに情報を集めるのではなく、信頼できる情報源を厳選するようにしています。
例えば、音楽制作に関する専門的な雑誌は、現在では発行部数が限られていたり、廃刊になっていたりするものが多いため、主にウェブサイトや特定のDTM（デスクトップミュージック）関連のブログ、信頼できるYouTubeチャンネルに情報源を絞っています。
このように情報源を一本化することで、同じ内容を複数の場所で確認する無駄な時間をなくし、より質の高い情報に集中できます。また、新しいソフトや機材の情報も、衝動的に購入するのではなく、本当に必要かどうかを吟味するようになりました。
政治や世界の動向との向き合い方：必要な情報を必要な時に
現代に生きる私たちは、政治や世界の動向を完全に無視することはできません。特に、日本人として選挙権を持っている以上、日本の政治については知っておくべきです。しかし、これも四六時中、ニュースサイトやSNSをチェックし、一喜一憂する必要はないと考えています。
私は、政治や世界の情勢については、一定期間に集中して情報を集めるようにしています。例えば、選挙前や大きな出来事が起こったときなど、情報が必要になったタイミングで、信頼できるニュースサイトや公共放送の情報を集中的にチェックし、自分の意見を形成するようにしています。
普段から政治的な情報に触れすぎると、どうしてもストレスを感じたり、悲観的になったりしてしまいます。私一人の力ではどうにもならないことも多いので、そのストレスを抱え込むよりも、自分の周りの大切な人や、自分の人生を豊かにするために時間を使う方が建設的です。
まとめ：より良いデジタルライフのために
デジタルミニマリズムは、現代社会をより快適に、そして主体的に生きるための強力なツールです。単にデジタル機器を遠ざけるのではなく、自分が人生で何を大切にしたいのかを考え、その目的のためにデジタルツールを賢く使うことが重要です。
情報の洪水に流されるのではなく、自分が本当に価値を見出す情報だけを選び取ることで、心に余裕が生まれ、本当に大切なことに時間やエネルギーを注ぐことができます。今後もこのデジタルミニマリズムをさらに深く追求していきたいと考えています。みなさんも、自分に合ったデジタルとの付き合い方を見つけて、心が軽くなる毎日を送ってみませんか？
