
先日、2025年10月7日に、大阪市内の由緒ある神社を御朱印集めも兼ねて巡ってきました。旅と言っても近所の日帰りなんですけどね。
安倍晴明神社、安倍の王子神社、阿倍野神社、住吉大社、そして最後に今宮戎神社というルートで、今宮戎からは徒歩で天王寺まで戻るという流れです。
新世界にある「うまい棒ショップ」に立ち寄ったのはこの帰り道だったりします。
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この旅の移動手段として、天王寺から電車をメインに使ったのですが、私にとって人生で初めての特別な乗り物との出会いがありました。

それは、天王寺駅前から発着している「ちんちん電車」、正式名称・阪堺電車です。大阪市内と堺市を結ぶ唯一の路面電車で、私が幼い頃からその姿は見ていましたが、乗車する機会は今まで一度もありませんでした。

今回、680円の「トリップチケット 阪堺沿線御朱印めぐり」という1日乗車券を購入し、念願の初乗車を果たしました。バスのように後ろから乗車し、ICカードを利用する場合は乗車時にタッチ。降りる際には降車ボタンを押し、運転手さんの横にある精算機で運賃を支払う仕組みです。運賃は距離に関わらず均一で、非常に利用しやすいシステムになっています。

駅はこじんまりとしていて、どこかミニチュアのような可愛らしさがあります。路面を車と一緒に走る区間も多く、その乗り心地はまさにバス感覚。普段出不精な私にとって、このレトロな乗り物に乗れたことは、とても貴重で新鮮な体験となりました。
安倍晴明神社

最初に向かったのは、安倍晴明神社です。その名の通り、平安時代の陰陽師として知られる安倍晴明の生誕地として有力視されている場所です。非常にコンパクトな神社ですが、手入れが行き届いており、地域の方々に大切にされていることが感じられます。
安倍晴明の物語はファンタジックで、公式サイトにも興味深い情報が載っています。興味のある方は、ぜひ事前にご覧になってから訪れると、より深く楽しめます。境内は約600平方メートルと本当に小さいながらも、その歴史の重みを感じられる空間です。

御朱印については各神社にて複数頂いているのですが、今回は「トリップチケット 阪堺沿線御朱印めぐり」限定の御朱印をメインに紹介していきます。
阪堺電車とのコラボなので、最寄り駅と車両のグラフィック入りです。個人的に電車にはそこまで興味がないのですが、なかなか良い感じですね。

安倍晴明神社・御社殿御再建百周年を記念した「24金・五芒星切り絵特別御朱印(白虎)」というもので、その名の通り、五芒星は24金の箔押しとのことです。
最近は切り絵の御朱印が流行っていて、さまざまな神社で授与されていますね。
阿倍王子神社

そこから少し歩くと、次の目的地、阿倍王子神社があります。こちらは、仁徳天皇によって創建されたとされる、大阪阿倍野の鎮守の森です。古くからこの地を本拠地としていた安倍氏の祖神も祀られている、格式高い神社です。
この阿倍王子神社は、「王子社」の中でも特に貴重な、大阪府下で唯一「旧地に現存する王子社」となっています。また、安倍晴明公の誕生にまつわる伝承が伝えられる地でもあり、安倍晴明神社とセットで訪れるべき場所と言えるでしょう。

境内には、サッカー日本代表のユニフォームにも採用されている三本足の烏「八咫烏」が祀られています。この八咫烏は「おからすさん」と呼ばれ、熊野街道沿いに多く設けられた熊野詣の参拝・休憩所としての役割を持つ王子社にとって、非常に重要なシンボルです。

阿倍王子神社の限定御朱印はこんな感じ。安倍晴明神社のご近所なので、最寄り駅は同じく東天下茶屋です。
阿倍王子神社~阿倍神社の移動中に見た風景

阿倍王子神社から阿倍野神社へ向かうには、少し距離があり、交通機関を使っても結局歩くことになるため、私は徒歩を選びました。この日、10月だというのに最高気温は30度近く。夏の盛りと変わらない暑さの中、約20分間の道のりは、これもまた一種の修行だと感じながら歩を進めました。
この道のりで、私は路面電車の線路が住宅街のど真ん中を走る、非常に珍しい光景を目にしました。道路と線路が兼用になっており、ガードレールといった仕切りは一切ありません。車がすぐ横を通り、住民の日常の中に電車が溶け込んでいるのです。
長い人生の中で、このような光景を見たことがなかったので、私にとっては非常に新鮮で興味深いものでした。地元の方にとっては当たり前の風景なのでしょうが、私には恐ろしいほどユニークに映りました。

さらに驚いたのが駅です。町の真ん中にぽつんとバス停のような看板が立っているだけ。座る場所や自販機が設置されている駅もありますが、基本的に電車が来るまでここに立って待つ、というスタイルです。
平日の日中だったので車通りは少なかったですが、もし人通りや車通りが多い時間帯だったら、かなりスリルがあるのではないかと感じました。地元の皆さんは、こういった環境で鍛えられているのだなと感心しました。
阿倍野神社

真夏の陽射しが残る中、徒歩15分の道のりを何とか歩ききり、ようやく阿倍野神社に到着しました。この道程で体力がかなり削られましたが、到着して目にしたのは、非常に立派で清々しい神社です。訪れた際もちょうど工事の関係者の方々がいらっしゃっていて、きれいに改修が進められている様子が伺えました。大切に守り継がれていることがよく分かります。

本殿には、心に響く言葉が掲げられています。「神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添う」(かみはひとのけいによりてい をまし、ひとはかみのとくによりてうんをそう)。
これは神道における、人と神様の関係を示す非常に深い言葉です。人々が神様を敬い、神社をきれいに保ち、お祭りを大切にすることで、神様はその威光を高められます。
そして神様の御加護によって、人はより幸せに、より良い運命を築くことができる、という考え方です。お互いが相互に影響し合い、共に栄えていくという、共存共栄の理想的な関係が示されています。私たち人間は、神様を敬うという正しい姿勢を持つことが、自分自身の幸せにもつながるのだと、改めて考えさせられました。
これは神様と人の関係だけではなく、すべての物事においても同じですよね。

阿倍野神社の境内には、もう一つ見逃せないパワースポットがあります。それが「旗上稲荷社(はたあげいなりしゃ)」です。多くのお稲荷様が祀られているこのお社は、商売繁盛、事業成功にご利益があるとされています。
この旗上稲荷社の中に、「旗上芸能稲荷社」という、非常にユニークなお社があるんです。名前の通り、芸能分野での成功を祈願する場所として信仰されています。

何せ松平健さんが献燈しているほどの場所です。芸の道を志している人は是非ともお参りしておきたいですね。
私のような一般人からすると、「芸能」と聞くと少し遠い世界に感じてしまうかもしれませんが、何かを始めようとする時の「旗揚げ」を応援してくれる場所と捉えれば、全ての人にとってご利益がある場所です。新しい事業を始めるとき、スキルアップを目指して習い事を始めるときなど、「ここぞ」という挑戦の時に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。きっと力強い後押しをいただけるはずです。
この旗上稲荷社は、単なる商売繁盛の神様というだけでなく、人々の創造的な活動や、何かを成し遂げようとする熱意を応援してくれる、現代を生きる私たちにとって心強い存在だと感じました。

阿倍野神社の限定御朱印はこんな感じ。最寄り駅は北畠ですが、10分くらいは歩くことになります。

左が旗上芸能稲荷社の限定御朱印で、右が安倍晴明神社のものです。
合わせることにより、一つの絵となります。なかなか凝ってますね。
住吉大社

阿倍野神社から再び阪堺電車に乗り、次に向かったのは住吉大社です。ここはさすがに何度か来たことがありますが、やはりいつ来てもその威容に圧倒されます。

第一本宮から第四本宮まである本宮の数に加え、国宝である「住吉造」の本殿など、見所が非常に多い神社です。時間が限られていたため、今回はお参りと御朱印の拝受をメインにしました。

住吉大社の象徴といえば、やはり「反橋(そりはし)」、通称「太鼓橋」です。その勾配は非常に急で、若い頃でも怖かったですが、年を重ねて足元がおぼつかなくなった今、登る時よりも下る時の方が怖く感じました。外国人観光客(インバウンド)の方も多く、皆がその急な角度に恐る恐る挑んでいる姿が印象的でした。

お参りを済ませた後、私はぜひ立ち寄りたいパワースポットへ向かいました。「五所御前」と呼ばれる場所で、ここには「五・大・力」と書かれた小さな石が多数置かれています。

この石を3つ集めると、お守りとして持ち帰ることができ、願い事が叶うとされています。石自体にお金はかかりませんが、石を入れるためのお守り袋は500円で授かることができます。
五所御前の画像は自分で撮影するのを忘れてしまったので、公式サイトからお借りさせていただきました。石とお守り袋は自身で撮ったものです。
今回は時間の都合で、願いが叶う「重軽石(おもかるいし)」の場所までは行けませんでしたが、五大力の石をいただくことができたのは嬉しかったです。

また、住吉大社は古い由緒ある神社でありながら、現代の遊び心も忘れていません。「すみっこぐらし」ならぬ「住っ子うさぎ」という、ユーモラスなキャラクターがいるなど、社内のユニークな一面も楽しめます。
本当に立派な神社なので、歴史や建築、そして少しのユーモアも合わせて感じてみていただきたいです。

住吉大社の限定御朱印です。これはうさぎがモチーフになっていて可愛いですね。

こちらは観月祭(かんげつさい)をモチーフにした10月限定の刺繍御朱印です。
中秋の名月が上るなか、神職が献詠作品入選歌を披講する様子を描いているもの、との事です。
今宮戎神社

住吉大社からも阪堺電車に乗り、最終目的地である今宮戎神社へ到着しました。この頃には、日が落ちる時間が迫っており、御朱印の授与時間が終了間近でした。
今宮戎神社といえば、毎年1月に行われる「えべっさん」の祭りで商売繁盛の神様として知られ、「商売繁盛で笹もってこい」の掛け声とともに、非常に多くの人で賑わう神社です。その期間は参拝するだけでも大変な混雑ぶりを見せますが、祭典のない時期は割とコンパクトで、静かな佇まいです。
この時は、ギリギリで参拝後、御朱印をいただき、今回の神社巡りの旅を終えることができました。天王寺を起点に、住吉大社まで往復するだけでも、日帰りのレジャーとしては十分なボリュームです。今回の5社巡りは、体力的にかなりのものがありましたが、初めての景色や経験を得ることができた、非常に充実した一日を過ごすことができました。

こちらは大阪人にとっておなじみのえべっさんですね。何か親しみを感じます。
実家が自営業だったので、毎年1月になると笹を貰いに行ってた記憶があります。
終わりに
この日は1日で約2万歩ほど歩いたので、帰宅後はシャワーを浴びてから何も食べることなく気絶するかのごとく眠りにつきました。
生まれも育ちも大阪で、今も郊外ではありますが大阪府民として、それなりに長い時間を過ごしてきたつもりですが、まだまだ知らない場所や知らない風景なんていくらでもあるんだなと思いました。
人生の後半は、人生の拠点であり故郷でもある大阪をたくさん歩いて回って、この地についての学びを深めるというのも面白そうだなと感じています。
何だかんだで大阪は大好きですし。
ということで今回もお付き合い頂きましてありがとうございます。
