
お正月といっても三が日が過ぎれば、私のような年齢になると元旦の特別な空気感もどこか遠いものに感じられてしまいます。若い頃は一年の始まりというだけで心が浮き立つような感覚もありましたが、今では365日の最初の1日に過ぎないという、ある種の落ち着いた境地に達しております。周囲が晴れやかな行事に勤しむ中で、私はあえて普段通りの、それでいて少しだけ自分の好きなことに忠実な時間を過ごすことに決めました。
ふとした瞬間に一人の時間が訪れると、何を食べるかという問いが案外大きな意味を持ち始めます。お正月らしい豪華な御馳走を並べる必要なんてないのではないか。そう思い至った時、私の頭に浮かんだのは久しぶりに作る焼きそばでした。特別な日のメニューではありませんが、今の私にとってはどんな豪華な料理よりも、その香ばしいソースの香りが魅力的に感じられたのです。
大阪人が焼きそばに白米と味噌汁を添える明確な理由
私が大阪で生まれ育ち、現在もこの地で生活を続けている中で培われた感覚があります。それは、焼きそばは単体で完結する主食ではなく、白米を引き立てる最高のおかずであるという確信です。他県の方からは、炭水化物に炭水化物を合わせるなんて信じられないという声を聞くこともあります。しかし、大阪の食文化において焼きそば定食や、たこ焼きとご飯を合わせる献立は、ごく自然な風景として存在しています。
ここで多くの方が抱く、なぜ炭水化物を重ねるのかという疑問に対して、明確な回答を用意しておきたいと思います。それは、焼きそばに使用される濃厚なソースの味わいが、白いご飯の甘みを最大限に引き出してくれるからです。ソースに含まれる香辛料の刺激と、豚肉やキャベツから染み出す旨味が一体となり、それがご飯を包み込むことで、他では味わえない調和が生まれます。
さらに、そこに温かい味噌汁が加わることで、口の中が一度リセットされ、次の一口がまた新鮮な感動を運んできます。いわば、焼きそば定食とは大阪人が長い歴史の中で見出した、食事としての満足感を極限まで高めるための叡智の結晶です。焼きそばパンや、小麦粉を巧みに使ったグラコロといった食べ物が世の中に受け入れられていることを考えれば、焼きそばと白米の組み合わせもまた、極めて理にかなった美味しさの形であると言えるでしょう。
四十代後半の代謝と向き合いながら楽しむ至福の味
もちろん、この素晴らしい組み合わせにも唯一の懸念点があります。それは、皆様もご想像の通り、圧倒的な熱量の摂取という現実です。代謝が活発だった若い頃であれば、どれだけ食べても翌朝にはすっきりとしていたかもしれません。しかし、40代後半を迎えた今の私にとって、炭水化物のパレードを頻繁に開催することは、自分のお腹の形を劇的に変化させてしまうリスクを伴います。
うっかり毎日このような食事を続けていれば、お腹の中に夢と希望が詰まっているのかと問いかけたくなるような、立派な体型になってしまうことでしょう。そのため、私は決して焼きそば定食を否定するわけではなく、むしろ死ぬほど愛しているからこそ、食べる頻度を調整するという大人な対応を心がけています。
体のために頻度を控える、あるいは体型を維持するために焼きそばだけで我慢する。そのような選択肢もありますが、やはりたまには自分を甘やかして、ご飯と味噌汁を並べた完璧な定食スタイルで楽しみたいものです。これは単なる栄養摂取ではなく、心の栄養を満たすための大切な儀式のようなものなのです。
自分を労うための自家製焼きそば定食という選択
自分で作る焼きそば定食には、お店で食べるのとはまた違った良さがあります。具材の切り方やソースの濃さを自分好みに調整し、熱々の状態でご飯と一緒に頬張る瞬間。それは、お正月の華やかさとは無縁の場所にある、静かで深い幸福感です。
ナポリタンをおかずにご飯を食べるナポリタン定食や、カレーライスに味噌汁を添える組み合わせについても、私は以前からその素晴らしさを綴ってきました。一見すると風変わりに見えるかもしれませんが、自分が美味しいと感じ、心が満たされるのであれば、それは立派な正解なのだと思います。
これからも、たまには自分へのご褒美として、カロリーのことは少しだけ棚に上げて、この大阪が生んだ最強の組み合わせを楽しんでいきたいと考えております。皆様も、周りの目を気にすることなく、自分が本当に美味しいと思える組み合わせで食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。そこにはきっと、日常を豊かにする小さな発見があるはずです。
