
私は現在40代後半なのですが、最近ふと気づいたことがあります。それは、かつて熱心に読んでいたビジネス書を、めっきり手に取らなくなったということです。
20代や30代の頃は、新しい知識や成功へのノウハウを求めて、書店に並ぶビジネス書をよくチェックしていました。AmazonのKindleストアでも、常に最新の情報を追っていたものです。
しかし、40代を迎えてこの数年間、どうもビジネス書というジャンルに対して、以前のような興味が湧かなくなってきました。これは私個人の感覚なのですが、もし同じように感じている方がいらっしゃれば、この気持ちを共有できたら嬉しく思います。
再現性の疑問と情報の「薄さ」を感じ始めたきっかけ
私がビジネス書から距離を置き始めたのは、いくつかの疑問を感じ始めたからです。
一つは、多くの本が、結局は昔からある「名著」や「ロングセラー」の知識を、現代風に「焼き直した」ものではないか、と感じるようになったことです。もちろん、時代に合わせてアップデートされた情報も大切ですが、本質的な原理原則は変わっていないはず。であれば、古典的な名著を読み直す方が、より深い学びが得られるのではないか、と思うようになりました。
もう一つは、最近のビジネス書の中には、特定の人物の「ピーキーな成功ノウハウ」や、その人の功績を讃える内容が多いということです。
「そのやり方は、この人だから成功したのではないか?」
「本当に私にも再現性があるのだろうか?」
このように、読んでいる途中で疑念が浮かんでしまうことが増えました。成功した事実を自慢しているように見えたり、一見華々しいノウハウに見えても、その背後にある確実性や普遍性が感じられないものも少なくありません。
まるで、「どうやったら一夜にしてヒットするYouTuberになれるか」といった、確実性の薄い内容に近しいものが増えてきたように感じられるのです。結果として、途中で読むのをやめてしまう本が増え、自然とビジネス書から遠ざかっていきました。
どんな時代でも変わらない「本質」はどこにあるのか
結局のところ、どんな時代、どんな業界であっても、知識の「本質」や「原理原則」は変わらないと、私は考えています。
例えば、ドラッカーの『マネジメント』や、渋沢栄一の『論語と算盤』といった古典的な名著。これらは、現代の最先端のテクノロジーやビジネスモデルが登場しても、その根幹にある「人」や「組織」の動かし方、あるいは「社会における道徳」といった、普遍的な真理を説いています。だからこそ、何十年も読み継がれているのでしょう。
40代にもなると、これまでに培ってきた知識や経験が、ある種の土台として身についています。新しい本を読んで「これは知っているな」と感じることも増えました。つまり、新しい情報を取り入れるよりも、自分の知識や経験を「確認」し、「深める」作業の方が、今の自分には大切だと気づいたのです。
最近の私は、ドラッカーの『マネジメント』を常に手元に置いていて、時折読み返しています。その方が、改めて自分の行動を再認識したり、戒めにしたりするのに、とても役立っています。
海外の情報と「学術・技術書」にヒントを求める
ビジネス書を読まなくなった代わりに、私が最近積極的に情報収集するようになったのが、海外の情報です。
インターネットの普及と翻訳技術の進化、そしてAIのサポートによって、海外の最新サイトや、現地の専門的な情報にも容易にアクセスできるようになりました。日本国内で流行する情報に偏らず、グローバルな視点を取り入れることで、より本質的なヒントを得られることが増えました。
また、以前は敬遠していた「学術書」や「技術書」にも触れるようになりました。
ビジネスや経済の歴史を辿る歴史書を読むことで、現代の成功や失敗のパターンが、過去の出来事の繰り返しであることが見えてきます。
人間の感情、心理、社会構造といった、ビジネスの土台にある「人」を深く理解するためには、文学や小説といった物語の力が不可欠です。感情が動く物語に触れることで、感性が豊かになり、仕事への新しいアプローチが生まれることもあります。
分野は違えど、一つの専門分野を深く追求した技術書や学術書には、問題解決や論理的思考のヒントが詰まっています。
つまり、私は「名著の源泉をたどる」ことが、今の自分にとって一番の学びになると確信しています。ブログやYouTubeで一発成功した人のノウハウを追うよりも、普遍的な知識、つまり「歴史」「文学」「学術」「技術」といった本流を深く掘り下げていく方が、学びの質は格段に高いと感じています。
まずは足元を固めて、知識を行動に変えることが重要
若い世代の方々にとっては、今の時代に合わせてブラッシュアップされた最新のビジネス書を読むのも、もちろん大切です。新しいトレンドを知ることは、時代に取り残されないための重要な行動ですから。
しかし、ある程度経験を積んだ世代にとって必要なのは、「新しい知識」を無限に入れることよりも、「得た知識」を「実践」し、「足元を固める」ことだと感じています。
知識は、読むだけでは何の価値も生みません。それを自分のビジネスや、日々の生活にどう応用し、より良く変えていくかという行動こそが、最も重要です。
読書というインプットの時間を、少し減らしてでも、これまでに得た知識をベースに、自分のスキルや仕事のやり方を洗練させていく。その上で、本当に質の高い「古典」や「源流」となる知識をゆっくりとインプットしていく。
このバランスこそが、40代以降の私たちにとって、最も成果を生み出す学び方ではないでしょうか。
読書の時間は、自分の感情が動き、知的好奇心が満たされるものであってほしいと思っています。最近は小説や漫画なども読み、心の栄養補給も欠かさないようにしていますよ。知的な好奇心と行動力をもって、これからも読書を楽しんでいきたいですね。

